*** A helper of the nursing care insurance came over. ***

当院では各種保険不使用の方針を貫いている(理由はこちら)。理由を読んでいただければ分かるが、だからと言って私のお客様が健康保険や介護保険を使用できる医療機関を利用することを妨げるものではない。そういう方法もあるということは、知らないお客様にはこちらからお教えすることさえある。

そちらを利用していながら、こちらを利用して下さる方も少なくない。これは、客商売を一人でやっている者にとっては至上の喜びである。そのお客様は間違いなく、私のサービスを選んで下さっているのだから。値段が安いからとか、受付の綺麗なお姉さんに会いたいからとかいう理由で選んで下さったわけではないことがハッキリと分かるから(施術者がイケメンだからなんて理由では尚更ありえない(笑))。

ある日、スエさんの茶の間のカレンダーに「ケアマネ」と書いてあるのを見つけた。尋ねてみると、
「そうなの。何か使えることがあるって聞いたから」

一応、私が選ばれなくなる可能性も覚悟しておかなければいけないなと、内心思った。単純な価格では絶対にかなわないはずだから。

ほどなくして、介護サービスの人たちと顔を合わせることが多くなった。これは「鉢合わせ」と呼ぶべき状態なのだと思うのだが、スエさんは全く気にする様子はなかった。

入浴サービスの車が来ていることがよくあった。これは、入浴を終えてサッパリした信市郎さんに施術してもらおうというスエさんの粋な計らいのようだった。

ヘルパーさんが来ている時もあった。スエさんと並んで座って、私の施術を見ていた。これも勤務の一環なのだろうか?と疑問に思ったが、スエさんがOKなら問題はないのだろう。それよりも、このヘルパーさんは私に対して敵対的な雰囲気があった。

私が「ここ、痛いですか?」とか、信市郎さんに声がけをすると、「そんな声で聞こえるわけないじゃないの」とつぶやいているのが聞こえた。

痛いかどうかは押した時の反応で大体わかるので、尋ねていることに余り意味はない。普通は「そこがいつも痛いのよ」とか、「若い時に転んでねぇ」とか、いろんな話を引き出すことができるので声をかけている。それが癖になっているので、聞かないとやりにくいだけである。

また、「仰向けになって下さい」というのも、私が何か言っているということだけ伝われば、あとはアイコンタクトとかボディランゲージで信市郎さんは十分わかってくれた。なのだが…

「仰向けになって下さい」と私が言うと、「だから、そんなんじゃ聞こえないって!」と叫んで、ヘルパーさんがヘルプしてくれた。

「信市郎さん!仰向けになって下さい!仰向け!あ!お!む!け!」

施術中はまどろんでいる場合もあるので、私は静かに声をかけることを心がけていた。耳元で大声で叫ぶ姿には私も驚いたし、信市郎さんも驚いた様子だった。

でも、私は老人専門の仕事ではない。老人に接するには、こうするのが正解なのだろうかと、しばらく悩んだりもした。

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