*** There was the house in a forest. ***

その家は、さくらんぼの森の中にあった。

もちろん、そこは原生林などではなく、果樹畑である。数十年前までは木も無い荒地だったと聞く。しかし、今では、さくらんぼの木々の立ち並ぶ風景が延々と続いている。

木々に隠れて目立たないけれども、森の中には碁盤の目のように道が切られている。その道路を車で走っていると、木々の間にポツン、ポツンと民家を見つけることができる。

その家も、そんなふうにして、森の中に立っていた。

私が初めてそこを訪れた時、さくらんぼの白い花が咲いていた。6月に赤いさくらんぼの実がこの家を取り囲む光景を想像したら、「ヘンゼルとグレーテル」に出てくるお菓子の家のように思えた。

「ごめんください!」と声をかけると、日本人離れした鼻筋の通った老婆が現れた。

鋭い目つきで私を頭から足の先までスキャンした後、
「あなたなの?フフフフフ。さあ、中へどうぞ。」と言った。

これが、池田スエさん(仮名)との出会いだった。

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