「スタンフォードのストレスを力に変える教室」【The Upside of Stress: Why stress is good for you (and how to get good at it)】
「Part1 ストレスを見直す」(p35〜170)【PART1 Rethink STRESS(No.243-1475)】の
「第3章 ストレスの欠如は人を不幸にする」(p130〜176)【CHAPTER3 a meaningful life is a stressful life (No.1109-1474)】
を読みました。

この章は、ある興味深い調査の紹介から始まっています。121カ国で一斉に行われた世論調査です。
「あなたは昨日、大きなストレスを感じましたか?」
この調査の結果、ストレス度指数の高い国ほど国民の幸福度が高いということが分かりました。

幸福な人たちはストレスを感じながらも精神的に落ち込んでいない人たちであり、不幸な人たちは貧困・飢餓・汚職・暴力が蔓延した状況で屈辱感・怒りを感じながらもストレスの欠如した人たちでした。

「なぜ電気も何もなかった昔よりも最近の方がストレスを感じるのか?」という、私が長年抱いていた疑問が氷解しました。

これは、ストレス・パラドクス(ストレスをめぐる矛盾)と呼ばれています。ここから、この章のタイトルであります「ストレスの欠如は人を不幸にする」という事実が浮かび上がってきます。

ストレスを感じるのは、大事な活動や人間関係に熱心に取り組んでいるバロメーターとさえ言えそうなのです。

さらには、ストレスの悪影響だと思っていることの多くはストレスを避けることで起こっているようで、充実感、満足度、幸福感、集中力、体力、自制心などが低下し、心身の疲労が増えることが分かっています。また、ストレスを理由に、コミュニティで果たすべき役割を辞退したりしますから、孤立していきます。

ことわざで言うと「虎穴に入らずんば虎子を得ず」的な話かなと思ったんですが、もっと辛辣な文章が引用されています。

「ひたすら快楽のみを求め、痛みを避けようとする人には、深みや意味に欠けた、仲間のいない人生しか手に入らない」
"The more directly one aims to maximize plesure and avoid pain, the more likely one is to produce instead a life bereft of depth, meaning, and community."

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