【The Upside of Stress: Why stress is good for you (and how to get good at it)】の【introduction(No.56-242)】を読みました。

「ストレス社会?」は、私が10年前に書きました。諸悪の根源のように言われているストレスですが、ならば今よりもずっと不便な生活をしていた昔の人はどうして絶滅しなかったのだろう?という素朴な疑問を書きました。

「体の不調の原因は?」と聞かれた時には「ストレス!」と答えれば誰でも納得してくれます。鍼灸師としては楽でいいのですが、「そんなに安易なはずがない」と常に思っていました。

そしてやっと、その答えが書いてある本を手に入れました。その答えは「ストレスは必ずしも体に害を及ぼさないから」だったです。

タイトルから分かります。ストレスにも良い面(upside)があるのです。この本には、ストレスがなぜ体に良いかが書いてあります。そしてそれを引き出す方法まで書いてあるようです。

著者が「ストレス有害説」に疑問を持つきっかけとなったのは、ある研究報告でした。合衆国の3万人の成人について行われた調査で、「ストレスは有害だ」と信じている人の死亡率は43%も高いということが分かったのでした。「ストレスは有害だ」と思っていない人の死亡率はストレスを感じているにもかかわらず低く、しかもそれほどストレスを感じていない人よりも低かったのです。

私たちは、ひどい状況でものほほ〜んとしている人を見ると、「あの人は長生きするよ」と皮肉ったりしますが、これは正しかったことになります。

【No.72】
The researchers concluded that it wasn't stress alone that was killing people. It was the combination of stress and the belief that stress is harmful.

著者は、この研究報告が頭から抜けませんでした。そして結果的には、健康心理学者として、「ストレスは有害だ」という仮定の基に行っていた活動を方向転換することにしました。

【No.143】
The best way to manage stress isn't to reduce or avoid it, but rather to rethink and even embrace it.

So, my goal as a health psychologist has changed. I no longer want to make you better at stress. That is the promise of the new science of stress, and the purpose of this book.

待望の本が出版されました。邦訳が待てなくて、海外から送られてくるのさえ待てなくて、kindle版を買いました(引用部がページではなくNo.で表記されているのはこのためです)。読み違えるかもしれませんが、邦訳が出た時に訂正していこうと思います(笑)。

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