「痛みを癒すヨーガ」〔原書【Yoga for Pain Relief】〕の「1.痛みを理解する」(p9〜16)【Understanding Your Pain(p9-16)】の【pain is a protective mind-body response】を読みました。

私が小さい頃と今とで「熱」に対する考え方は180度変わったように思います。以前は、「熱」こそ病魔がもたらす最大の攻撃で、解熱剤によってすぐに対処すべきであるという考え方だったと思います。ところが、最近では、病魔への攻撃手段である免疫系を活性化させるために発熱しているのだから、熱はなるべくなら下げない方が良いという考え方になっています。

つまり、「熱」は敵ではなく、味方に分類されるようになりました。

これと同様に、この本で最初に確認していることが、「痛み」は敵ではなく味方だ、ということです。

例えば、ある動物の群れがあって、その中の一匹が敵が来ないか見張っているとします。敵が例えばライオンだとして、「ライオンが来た!逃げろ!」と見張りが叫んでいる状態。これが「痛み」です。

見張りはとても大切な私たちの味方です。決してライオンの手先ではないのです。それなのに、「痛み」こそ敵、諸悪の根源のように捉えている人が意外に多いのです。

【p10】
Pain lets you know when your physical safety and well-being are at risk. It motivates you to protect yourself when you are being harmed. And it helps you learn to avoid things that could harm you.

そして、「痛み」はとても複雑で高度なシステムです。というか、私たちの感覚は全てそうなのでしょうが。

少し前に、ドレスの色が人によって違って見えるということがネット上で話題になりました。脳は無意識下で適切と思われる画像処理を行っており、その結果を私たちは「見えた」と感じています。

聴覚に関しても、このような処理が行われています。耳は一組しかありませんから、「どんだけ右か、どんだけ左か」という一次元の空間認識しかできないはずです。それなのに私たちは、前後方向、上下方向も加えた3次元で何となく捉えることができます。これは、音の微妙な広がりの違いから、経験的に学習しているのだと考えられています(このことは以前「爆問」で見たのですが、このブログにはメモっていなかったらしい)。

ですから、「痛み」だけが単純なシステムだとは考えにくいです。

【p10】
When threat signals arrive in the area of your brain that first receives sensory information, the brain does a kind of appraisal. What's going on? How serious is this? Is this something I need to pay attention to? If the brain decides to pay attention to the incoming signals, the message gets sent to many other areas of the brain that can help you respond to an emergency. This network of brain areas has been called the "pain neuromatrix"(Melzack 2001), but you can think of it like a public address system. The information goes out to just about anyone who might need it or know what to do with it.

さらに、「痛み」は単なる感覚ではなくて、心につながっているようです。

(これは関係ないかもしれませんが、)余りにショッキングな光景を見てしまうと、ショックから脳自身を守るために記憶喪失になったりします。このような自己防御機能が脳に備わっています。他にも無意識下で、脳の活動を円滑にするための処理が行われているようです。パソコンのデフラグみたいに、バックグラウンドで流れるプログラムに似ています。

「痛み」に関する処理も、痛くなくなったから終りというものではなく、無意識下でいろいろ進行していくことになります。

【p12】
It is this full set of protective brain responses - from the first pain sensations to problem solving, emotional suffering, stress response, and learnig - that creates your personal experience of pain. Far more than just a physical sensation, pain is one of the most complex of human experiences. This is why pain reaches into every aspect of your life, influencing how you think, feel, and act.

この複雑なシステムがうまく機能しなくなった状態、それが慢性疼痛ということのようです。

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