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山形県立東桜学館中学校(仮称)の適性検査問題の例(昨年の説明会で県が提示したもの)を増刊号No.7(2014/2/13)で取り上げました。三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使わないと解けないんじゃないか?と思ってしまう問題でした。同様の問題を見つけましたので、今回はこれを紹介します。岡山県立倉敷天城中学校(2013)で出題された問題です。
(3)
(正三角形ABCの面積)=(底辺)×(高さ)÷2
=10×(辺LCの長さ)÷2
=(辺LCの長さ)×10÷2
=(辺LCの長さ)×5
正三角形ALNは、正三角形ABCの中の4つの合同な正三角形のひとつなので、
(正三角形ALNの面積)=(正三角形ABCの面積)÷4
=(辺LCの長さ)×5÷4
答えは 5/4 です。
(4)
〔解法1:図をひたすら見る〕
正三角形LCDは三角形LOMと合同な三角形(COM,CPM,DPM,DQM,LQM)計6個で構成されています。つまり、面積は三角形LOM6個分。
一方、正三角形ABCは、三角形LOMと合同な三角形6個と正三角形ALNで構成されています。正三角形ALNを半分にすると三角形LOMと合同な三角形が更に2個できます。つまり、正三角形ABCの面積は、三角形LOM8個分。
答えは 6/8 を約分して 3/4 になります。

〔解法2:少し計算する〕
正三角形LCDの高さに相当する辺CQは、辺CBの 3/4 になっていることが図から分かります。辺CBは10cmですから、辺CQは 30/4 = 15/2〔僉諭
(正三角形LCDの面積)=(辺LCの長さ)× 15/2 ÷2
=(辺LCの長さ)× 15/4




(3)で、(正三角形ABCの面積)=(辺LCの長さ)×5 と計算していますから、
正三角形LCD:正三角形ABC = 15/4 :5 = 15:20 = 3:4

〔解法3:三平方の定理を使う〕
三平方の定理を知っていますと、一辺が10cmの正三角形の高さは 5√3 cmであることが分かります。すなわち、(辺LCの長さ)= 5√3 です。
(正三角形ABCの面積)= 10× 5√3 ÷2
= 25√3〔㎠ 〕
同様に三平方の定理から、一辺が 5√3 cmの正三角形の高さは 15/2 cmであることが分かります(これは解法2で、辺CQの長さを図から読み取ったのと同じ値)。
(正三角形LCDの面積)= 5√3 × 15/2 ÷2 = 75/4√3〔㎠ 〕
正三角形LCD:正三角形ABC = 75/4√3:25√3 = 75:100 = 3:4

さて、どの解法が一番スッキリするでしょうか?〔解法1〕は、三角形LOMの面積が何㎠ かは分からないまま問題を解いています。〔解法2〕は、辺LCの長さが何cmか分からないまま。それに対して、〔解法3〕は、それぞれの三角形の面積が何㎠ かをはっきり出してから面積比を出しています。

数値まで出せないと、あまりスッキリできないかもしれません。ですが、〔解法1〕や〔解法2〕のように数値がはっきりしないものを扱うということは、実は大事なことなのです。

 私は算数はあまり好きではないのですが、数学は大好きです。なぜなら、数学では数値計算をしなくても良いからです。文字式のまま、それが答えになります。分数や小数が混じった四則混合の計算よりも、文字式の計算の方がずっと楽です。数学で最初に文字式を見た時、「算数が英語みたいになって難しくなった!」とは思いませんでした。「これからは掛け算や割り算の筆算をしなくても良いんだ!」と喜びました。

 文字式にはxとかyとか文字が出てきますが、xとかyが実際にどんな数値なのか分からないまま計算をしていきます。それは逆に言うと、xやyがどんな数値でも構わない計算になります。x=1の場合も、x=2の場合も、x=3の場合も、全部ひっくるめて一度に計算しているようなものです。何と画期的なことでしょう!算数という教科が出世魚のように途中で名前が変わるのは、ここが根本的に違うからだと私は思っています。

 ところで、〔解法3〕は本当に三角形の面積を出していたのでしょうか?√3は小数で表すと1.73205080756…と無限に続いていくので、この状態で約分して面積比を出すことはできません。ですから、√3という名前を付けて計算を先に進めます。平方根の計算をしているとき、私たちは実際の数値を気にとめることはありません。2乗すると3になるということ以外、何も気にしないで計算しています。要するに、これは文字式の計算なのです。

 具体的な数値を気にせずに、思考を先へ先へと進めていけるかどうか…これは算数から数学にステップアップできるかどうかということにつながります。今回紹介したような問題は、この能力があるかどうかを見極める上で、とても重要な意味があると言えます。




参考文献:2014年度受検用公立中高一貫校適性検査問題集(みくに出版)小林教室収蔵

《教室だより増刊号インデックス》

※今後、大学入試や高校入試で一般的になると思われる合科目型・総合型の出題形式が公立中高一貫校適性検査では既に一般的になっているため、この増刊号で取り上げています。ですから、中高一貫校だけを特に意識しているわけではありません。もちろん、だからと言って東桜学館を全く意識していないわけでもありません(笑)。

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