日経サイエンス(2015/01号)の記事を元に考えてみます。

瞑想によってストレスに対する抵抗力が付き、これによって、うつ状態や慢性疼痛はもちろん炎症や分子レベル(遺伝子の活動)へのストレスの影響まで低減できることが確認されているそうです。ストレスが万病のもとになっていることは異論ありませんでしたが、分子レベルにまで影響があるというのは驚きです。

ところで、痛み病については以前書きました。慢性疼痛は、痛みを記憶している状態の場合があるということ。器質的な異常は何も無いけれども痛い、実体のない痛み。

私たちの体は外界の変化をセンサーたる五感で検知し、神経の電気信号として脳に伝達されていくわけですが、脳というのはこの神経の集合体であり、無数の神経線維で構成されるネットワークらしいです。伝達されてきた信号が複雑に絡み合い、いろんな所で強め合ったり、弱めあったりしながら、「私」は成り立っているようです。

しかしながら、外から見ても、どんなふうに絡み合っているかは分かりません。

傷口がパックリ開いていたり、血が出ていたりすれば、こちらも見ていられないほどに痛みを感じる(想像する)事ができます。でも、外見が何ともなければ、他人の痛みはわからないものです。自分の状態を言葉で表現するのが得意な人ならばいいのですが、それができない人、苦手でできない人もいれば障害を持っていてできない人もいるわけです。

また、考え方がすごくネガティブだとか、そういった偏った考え方をなんとかしたいとしても、外から見ても分かりません。ゴルフのフォームを直すような具合に教えてあげることはできませんし、自分で鏡を見ながら試行錯誤することもできません。

知的障害を含めて普通と違った考え方をする人は、天才である可能性もあります。ですが、その可能性を見出すにも、外から見えないので非常に困難です。

だからこそ、見た目にこだわらず、見えないところにも手を差し伸べる努力を忘れてはなりません。