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「オランダの個別教育はなぜ成功したのか」の「第1部 オランダの個別教育」(p9〜77)「第二章 オランダの学校では今」(p26〜56)の「習熟度モニター制度とリュックサック政策(オランダ型特別支援教育)」(p38〜44)「スタディハウスとPBL方式」(p44〜56)を読みました。(小林教室収蔵

オランダの教育の特徴的な項目として、習熟度モニター制度、リュックサック政策、スタディハウス、PBL方式があります。

習熟度モニター制度は、初等教育における習熟度を客観的な測定法で定期的にモニターするものです。それで問題と判断された子どものためには、オーダーメイドとも言えるような教育を目指します。
リュックサック政策は、発達障害児への特別支援教育のことです。普通学校と特殊学校が協力して様々な活動が行われています。

中等教育では、進学コースとして大学進学準備コース(VWO)と高等専門学校進学準備コース(HAVO)、さらに職業準備コース(VMBO)として4レベル4種のコースがあります。中等教育進学後の2年間は、VWOとHAVOのブリッジクラスや、HAVOとVMBOのブリッジクラスも用意されており、自分の進学するコースが確定できていない子どもはそこで学ぶことができます。

この進学コース(VWOとHAVO)に99年に導入されたのがスタディハウスという制度です。

《以下引用(p49)》
スタディハウスの改革は、「習うから学ぶへ」の改革といわれるように、教員から授業を受ける形態を減少させ、生徒自身が、教科書や参考書を読みながら、また、自分で情報を収集しながら自立的に学ぶという授業形態を大きく増やしたものです。スタディハウスでは、教員は、教壇から教える時間を最小限に留め、自立的に学習をしている生徒の自発的な質問を受け、必要に応じてアドバイスを与える、という役割を担っています。…

また、自立学習によって知識を習得するばかりではなく、グループで進める共同学習の中では、プロジェクトや実験を行うことで企画・実施の能力を、議論・討論をすることで論理性を、プレゼンテーションや報告書の作成をすることでコミュニケーション能力を、といったように様々な方法で様々な能力を培っています。このような、筆記試験では評価できない能力を、学校の中で評価し、それを大学進学に必要な卒業資格の条件として重視していることは注目されます。
《引用終り》

VWOとHAVOで好成績を収めればディプロマという卒業資格が与えられ、いつでも大学または高等専門学校に入学することができます。

1976年に設立されたマーストリヒト大学では、独自に「PBL方式(問題解決型学習方式)」を行っています。

《以下引用(p52)》
PBL方式は、学生の〈自立性〉〈起業精神〉〈問題解決への指向性〉を養うことを目的とするものだと大学は説明しています。

大学生たちは、入学後すぐに10人未満の小グループで共同学習を始めます。それぞれの科目では指導段階ごとに、学生たちが〈問題解決〉研究に取り組むためのきっかけとなる事例がいくつも用意されています。この事例というのは、私生活の中で、あるいは、学生たちが将来就く仕事の現場で生じると考えられる様々な問題の場面や状況を設定、表記したものです。この事例の中に示された問題を解決するために、学習中の科目の知識を駆使して、小グループのディスカッションでブレーンストーミング(創造的集団思考法)をし、問題となる点を絞り、それを元にして自主研究をしていきます。

小グループのディスカッションには、それぞれチューターと呼ばれる指導者がついており、学生たちのグループ討議のプロセスを監督し、討議の進む方向やレベルによっては、必要に応じてコメントを加えます。

問題点が明らかになったら、今度は、学生たちがそれぞれ個人で問題の解決に必要な情報を収集します。そのために、充実した図書室と、IT機器やビデオなどの揃った快適な情報研究室が備えられています。ここで得た情報を元に、事例の中から抽出された問題に対する解決法を考えて報告書を書き、再びグループ内で互いにプレゼンテーションします。

グループ討議と自主研究による問題解決学習、1,2週間ほどの期間を設けて行われ、何度も繰り返されます。このような学習を通じて、理論だけではなく実践に即した知識を身につけていく、というのがPBL方式です。

もちろん、事例は、授業のために前もって慎重に企画・準備されたもので、PBLと並行して基本的な理論についての講義も行われます。しかし、講義とPBLの割合は、時間にして、およそ3対7の比率だといわれ、このことからも自立学習や共同学習がいかに重要な位置を占めているかがよくわかります。
《引用終り》

筆者自身2004年に、大学進学準備中の娘さんと一緒に、PBLのデモンストレーションをご覧になったそうです。

《以下引用(p52)》
デモンストレーションの様子を見ていて、大変面白いなと思ったのは、問題点の見つけ方や、ほかの学生とのコミュニケーションのとり方、グループ・ディスカッションでの発言の多寡などに、個々の学生の性格が大変強く現れることです。何よりも、理論がわかっているということと、その理論を実生活で生じる問題に応用できるということとは、どうやら別の能力であるらしいと興味深く思われました。おそらく学生自身も、このようなディスカッションの場を体験することで、ほかの学生と自身とが対照され、自分の能力や性格をより自覚することができるのではないでしょうか。
《引用終り》

講義形式の授業が自立学習の妨げになるというコンセンサスがオランダにはあるようで、先進性を感じます。

自他の能力を認め、コラボレーションを図っていくことを気づかせる共同学習も先進的ではありますが、飛鳥時代には我が国にもあったんですよね…。

《インデックス》

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