ドコモがiコンシェルを始めたとき、キャラクターとして羊の執事が登場しました。その時、「羊が人間を喰い殺している」というトマス・モアの言葉を思い出しました。なぜなら、ケータイが既存の仕事を食い殺し始めていると思い続けていたから。

最初は当然固定電話だったでしょう。ケータイはもともとは電話でしたから。「ケータイ持ってるから、固定電話は契約してないんだ」という人は、私がケータイを持ち始めるずっと前から出現していました。

腕時計や目覚まし時計、カメラ、電卓、テレビ、地図、カーナビ、メーラーやブラウザとしてのパソコン…と、ケータイが機能を拡充していくにつれて他の物が売れなくなっていきました。

若者がケータイにお金をつぎこむようになったから、カラオケ店の売り上げも減ったし、車も売れなくなったという話も聞かれました。

スマホになってアプリなどのソフト面がかなり充実してきましたから、新聞、書籍、CD、レンタルビデオ、ゲームなども食われ始めています。アマゾンや楽天なども専用のアプリを提供して利用しやすくなっていますから、既に様々な小売業が食われているはず。ケータイの支払いが増えたから、親からのお小遣いも減額されているとのこと。

先日、教育雑誌を見ていましたら、今の子どもの65%は今現在存在しない業種に就くだろうと書いてありました。私もそのくらいは行くだろうと思っています。

ダーウィンが言ったとされる「最後に生き残るのは変化できる者」という言葉が想い起こされます。私が会社を辞めた理由のひとつに、自分なりのビジネスモデルを模索してみたいというのがあったということを、改めて思い出したところです。

これまで存在していた業種に就くのであれば、先輩というお手本があります。模範解答どおりの問題の解き方を身につける勉強法でいいかもしれません。しかしながら、新たな業種に就くとしたら、自分でビジネスモデルを創造して、市場を開拓していかなければなりません。前例のないこと挑戦していく冒険家精神が必要になります。自分で目標設定して、自分で必要な文献を読みあさり、自分で考え行動する人間にならなければいけません。手前味噌ながら、それが自学自習の精神ということになります。