「新・ヒトの解剖」の「解剖の秘密」(p8〜28)を読みました。(小林教室収蔵

《以下引用(p26)》
解剖実習室の扉をあけると、そこにはシートにおおわれた数十体の遺体が、防腐液の臭いがよどむ部屋のなかに無言で横たわっている。

そのうちの一体に近づき、黙祷をささげてから静かにシートをとり、ビニールとさらしの布をとりさる。そこには、一糸まとわない遺体が横たわっている。人体解剖の経験がない一般の人たちのなかには、解剖台に横たわる人体から、ヌードのようななま肌や、逆に、轢死体のようなむごい姿を想像するむきもあろうが、現実は、黄褐色の皮(皮膚)におおわれた埋もれ木を見るような感じである。…

解剖をやりはじめたばかりのころは、作業がおわると、ブラシと石鹸で、ていねいになんども手を洗い、それでも臭いがのこっているようで(それはおもにゴム手袋の臭いである)、おちつかないものだが、場数をふむと、さっと手を洗ったくらいですますようになる。
《引用終り》

私たちが行った実習は、東北大歯学部で行われている解剖実習の間に、ちょっとだけいじらせていただいたものでしたから、回数も少ないし、ピンセットやメスで筋肉を少し切り取ってみるくらいのもので、切り開いてあるものを取り出して解剖の本と照らし合わせるのが主な作業でした。

医学部や歯学部での実習では、徹夜に近い状態で遺体のスケッチに明け暮れると聞きました。そうやって「場数をふむと」遺体を前にして、コンビニの弁当も平気で食べられるようになるそうです。

何とコメントしていいか、分からない話でした。

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