「新・人体の矛盾」の「1 血液と太古の海」を読みました。(小林教室収蔵

井尻正二さんは「野尻湖のぞう」(くもんの推薦図書)の著者でもあります。「現代ソフィスト伝」にも登場します。

同じコンセプトの本(「人体・失敗の進化史」)が最近も出ていますが、井尻さんの本は視点がユニークで面白いです。

例えば、人体を構成している器官が生物史上に登場してくるタイミングがバラバラなのですが、これを説明するのに家庭の中を見渡します。ナイフは石器と考えれば紀元前70000年、鏡は紀元前6000年、洋服は1870年、電灯は1887年、テレビは1953年…etc。

こういった具合に、体内の各器官について見ていきます。今回は血液。これは35億年前の生命の起源にまで遡る最も古株の人体のパーツと言えそうです。

本書では体液の相対的イオン組成(ナトリウムを100とした時の、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩素、亜硫酸の量)が紹介されており、クラゲ、ウミザリガニ、ツノザメ、タラ、カエル、イヌ、ヒトの体液と海水が比較されています。その傾向は生物も海水も似ており、下等な動物ほど海水に近い傾向が見られます。

本書の内容からは離れますが、体液中のナトリウム濃度と言われると血圧のことが頭に浮かびます。ナトリウムを摂り過ぎると高血圧になる…。

血圧を下げるにはカリウム、カルシウム、マグネシウムの摂取が有効と言われていますが、要するにナトリウムの過剰摂取によるイオンバランスの崩れを是正することに他ならないことが、イオン組成の表を見ると分かります。

海水から取った天然の塩が体にいいというのもうなづけます。

いろいろな添加物が入った食品は、私たちの体液のバランスを撹乱します。これは35億年前から伝統を撹乱していることになります。

《つづく》