就職して最初の冬に買ったPコート。まだ着てます。20年くらい着たことになります。買う時に店員さんが「これはいつまでも着られますよぉ」と確かに言っていたが、それは流行がないからという意味だろうから、こんなに着るとは思わなかっただろう。私も思わなかった…でも、袖のところからほつれた糸が少し出ています。それを着て、銀行のATMに行ってきました。

最近はしゃべる機械が増えました。お風呂、炊飯器、エアコン、カーナビ、などなど。出始めの頃はビックリしましたが、慣れてくると親しみを持ちます。「ああ、そうですか」とか「日本語上手ですね」とか、機械に答えていました。でも最近はもっともっと慣れてきたので、何年来の悪友か古女房みたいは感じで、「あー悪かったね!」とか「わかってますよ!今やろうと思ってたの!」とか言うようになってきました。

さて、ATMに話を戻します。混んでいるのが嫌なので、町はずれにある電話ボックスみたいなATMになるべく行くようにしています。だから、たいていATMと二人だけ。気兼ねなく会話(?)することができます。

その日はまず、画面の横に立てたセカンドバッグが操作中に倒れてきました。
「画面の上に物を置かないでください!」と彼女が言います。
「すみませんね。私も置きたくて置いたわけじゃないですよ!」と私。

それから、タッチパネルで操作したのですが、なぜか押したボタンと違う画面になります。
「アンタ、俺の態度が悪いからって意地悪することないだろう?」と言いながら、操作をやり直すのですが、何度やってもうまくいきません。

「いい加減にしないか!コノヤロウ!」と叫んでは見たものの、相手は機械。意地悪をしているわけがない。故障でなければ、私に原因がある…

と考えて思い当たったのが、コートの袖のほつれた糸でした。指と一緒に糸もパネルにタッチするから、機械が読み取りを間違えるのでした。

自分が悪かったのですし、誰に見られたわけでもありませんが、頭に上った血はなかなか落ち着きませんでした。

皆さんも、古いコートとATMにはお気を付け下さいませ。