「空海の風景」(中公文庫)
「『空海の風景』を旅する」の「第二章 讃岐」を読みました。
NHKで『坂の上の雲』がドラマ化されましたが、夫人の話によると「空海を考えていた頃と、『坂の上の雲』の執筆とは重なっていたんじゃないかしら。でもね、書こうと思ったことはまったく反対のことじゃなかったかなって思うんですよ。」ということです。ドラマも見ながら読んでいけそうで、なかなかタイムリーです。
空海を天才にした要因を、司馬遼太郎は3つ挙げています。「混血」「母の家系」「国際性」です。
「混血」とは、蝦夷のような大和朝廷に征服された人々が讃岐にも流されているので、空海もその血を受け継いでいるのではないか?という司馬遼太郎の仮説です。
「混血」とは「ハーフ」ではなく「ダブル」なのだ、という鎌倉さん(プロデューサー)の指摘も面白い。蝦夷と言えども完全なひとつの文化を持っていたわけで、ふたつの完全な文化を受け継ぐということは、可能性が倍以上に広がります。ハイブリッドしただけで、新しいものを創り出すことができるからです。
「母の家系」については、詳しくは本書を読んでいただくとして、叔父さん阿刀大足(あとのおおたり)は桓武天皇の皇子の個人教授に抜擢されるほど儒学に秀でていたことが大きいでしょう。若き空海もこの人の教えを受けていますから、空海の儒教の知識は一流のものだったと推察されます。
「国際性」とは、幼少期を過ごした讃岐の地は唐に向かう遣唐使船を浜に立って見ることができただろう、ということ。小さい時から、大陸に目が向いていたに違いありません。
満濃池とか荘内半島とか見たこともない土地ですが、グーグルの航空写真を見ながら読んでいます。
大きな地図で見る
《つづく》
「『空海の風景』を旅する」の「第二章 讃岐」を読みました。
NHKで『坂の上の雲』がドラマ化されましたが、夫人の話によると「空海を考えていた頃と、『坂の上の雲』の執筆とは重なっていたんじゃないかしら。でもね、書こうと思ったことはまったく反対のことじゃなかったかなって思うんですよ。」ということです。ドラマも見ながら読んでいけそうで、なかなかタイムリーです。
空海を天才にした要因を、司馬遼太郎は3つ挙げています。「混血」「母の家系」「国際性」です。
「混血」とは、蝦夷のような大和朝廷に征服された人々が讃岐にも流されているので、空海もその血を受け継いでいるのではないか?という司馬遼太郎の仮説です。
「混血」とは「ハーフ」ではなく「ダブル」なのだ、という鎌倉さん(プロデューサー)の指摘も面白い。蝦夷と言えども完全なひとつの文化を持っていたわけで、ふたつの完全な文化を受け継ぐということは、可能性が倍以上に広がります。ハイブリッドしただけで、新しいものを創り出すことができるからです。
「母の家系」については、詳しくは本書を読んでいただくとして、叔父さん阿刀大足(あとのおおたり)は桓武天皇の皇子の個人教授に抜擢されるほど儒学に秀でていたことが大きいでしょう。若き空海もこの人の教えを受けていますから、空海の儒教の知識は一流のものだったと推察されます。
「国際性」とは、幼少期を過ごした讃岐の地は唐に向かう遣唐使船を浜に立って見ることができただろう、ということ。小さい時から、大陸に目が向いていたに違いありません。
満濃池とか荘内半島とか見たこともない土地ですが、グーグルの航空写真を見ながら読んでいます。
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《つづく》
コメント
コメント一覧 (2)
遠い昔の話ですが、かなり大陸の情報は入ってきていたようですね。きっと遣唐使も中国語ペラペラの状態で行ったのかもしれない…とか、いろいろ想像を膨らませますと、遠い昔という感じがしなくなります。
江戸時代の方が古い感じがしてしまうのは、鎖国してたからでしょうか…
私の実家は物部系弓削氏(道鏡の出身氏族)の本拠地なのですが、隣は物部系阿刀氏の土地のようです。今も「跡部」という地名がありますが、もともとは「阿刀部」だったのでしょう。いずれにしても、バリバリの「中央氏族」ですね(もっとも、物部本家はとっくに蘇我氏に滅ぼされていますが…)。
一方で、弘法大師の父方「佐伯氏」はアイヌ系氏族の苗字と言われていますが、ただ、だからと言って弘法大師がアイヌ系であった証拠にはならないようです。
アイヌを統括する立場の者が佐伯部だとしても、それがアイヌではなく「和人」である可能性はありますし…。
ただ、佐伯氏は不思議な氏族で、確か最高位の人も従五位下くらいの立場だったのではなかったでしょうか。少なくとも天皇に直接謁見しうる身分ではないにも関わらず、色々と朝廷でも動いていたようです。実力の理由は塩の専売による巨大な富を持っていたからだとか、山人を自由に操るアングラの支配者だったとか色々言われていますが…まぁ、真相はわかんないですよね。それこそ小説の世界になります。