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NHK「爆笑問題のニッポンの教養#86」(10月6日放送分)を見ました。哲学の永井均先生でした。哲学的に「私」を考えるというのはよくあることです。仏教的アプローチのほうが奥深くて、西洋哲学的アプローチはどうも新鮮味に欠ける。

この番組を見て「私」について考えているときに、別の番組(「ザ!世界仰天ニュース」)でひどいアレルギーの体験談をたまたま見ました。アレルギーは、「私」という国境を警備している兵士が、敵でも味方でもない相手に対して猛攻撃をしかける病気です。この医学的「私」のほうが、哲学的「私」よりもずっとずっと示唆に富んでいるように思いました。

番組で紹介されていたのは、餃子やカレーが大好きでいつもたくさん食べていた人(それぞれ別の人です)が、ある日突然アレルギー症状が表れて、大好きな物が食べられなくなったというものでした。大好きな物ですから、そんなこと知らずに大量に食べてしまって、ショック死寸前のところまで行ったそうです。

何らかのきっかけで、免疫系の「敵」を判断する基準が変化することがあるということです。それで気づいたのが白髪染め。注意書きを見てみますと、使用前にパッチテストをするように書いてあります。これ、その商品を初めて使う時だけではないんですね。よく読むと、「使用する際は毎回必ず」と書いてあります。免疫系のこの恐ろしい変化は日々起こる可能性があるということです。

ウィルスや細菌、化学物質など、いろいろなものに私たちの免疫は攪乱され、揺らぎながらも「私」を守り続けています。膠原病などの自己免疫疾患は、そんな危うい運営状況の中で敵味方の区別がつかなくなって起きてしまうのでしょう。

境目の無いところに無理に打ち立てた「私」という独立国。自己同一性は常に揺らいでいます。心の中の「私」も、体の中の「私」も。

《つづく》