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第7章「進化と「適応」のメカニズムについて」を読みました。前の2章は、この章の前置みたいなものですね。この章は、とても中味が濃いです。

《以下引用》…進化を理解し、あるいは少なくともその展開を思い描くには、一つの類推が役に立つ。山地の上部に湖が一つあり、そこからあらゆる方向に数多くの水流が流れ出している光景を想像してみよう。水流は途中で岩石や樹木、岩溝など幾千もの障害物に出合い、そのコースや形が決められていく。

水は重力に引かれて、つねに谷底へと流れる。ある流れは合流してさらに太くなり、別の流れは岩の割れ目や沼地に吸い込まれていく。小さな湖をつくり、それ以上は流れなくなるものもある。岩石は滝をつくる。水の流れには一つとして同じものはない。なぜなら同じ障害物にぶつかることはからだ。とはいえ、どの流れも一つの同じ力、一つの同じ必然性によって動かされている。それは、どの流れも山のふもとに達するという必然性である。…《引用終わり》


分かりやすいイメージだと思ったので、長いけれども引用しました。生物の進化が様々なプロセスをたどっているけれども、目指している方向はひとつなんじゃないか?ということです。そう捉える以外に、進化を理解することはできないんじゃないか…

《以下引用》…進化とは、それが究極の目的、つまり遠くにある正確な目的に支配されていることを認めてこそ、はじめて理解できる。この究極の目的の実在を受け入れなければ、…進化が物質の法則と絶対に両立しないだけでなく、道徳的、精神的な観念の出現という現象も、まったくの謎として残されてしまうということを認めざるを得なくなる。…《引用終わり》

こう仮定することで、進化の流れの謎が解けて、人間としての崇高な自覚を持つことができるならば、本当か嘘かは気にしなくてもいいんじゃないか?ということですかね。

《以下引用》…適応が、みずからの目的である平衡状態に達しようと盲目的な努力をおこなうのに対して、進化は、不完全な器官や組織を通じてしか継続できない。進化はひたすら不安定さから不安定さへと向かい、完全な適応をとげた安定した組織に出合ったときにのみ進化は止まってしまうのである。…《引用終わり》

余り使われていない器官、つまりその個体にとって重要でない器官が、次なる進化の主役になっているらしいことは、よく知られていることです。己の不完全さに翻弄されながらも、安定を獲得した瞬間に先に進めなくなるというのは何とも皮肉です。そしてそれは人生にもあてはまるパラドクスですね。

《以下引用》…進化は人間を通じ、そして人間のみを通じて続く。しかし、…人間の進化というのは、それ以前の進化と同一の土台の上でおこなわれるのではない。電子の不可逆的な「進化」と原子(電子から成る)の進化とのあいだには、また、原子の不可逆的な進化と生命(原子から成っている)の進化とのあいだには、知性では越えられない溝があるように思える。生命の進化と人間の進化とのあいだにも、やはりそれと同じ溝があるようだ。…《引用終わり》

人間と動物の間に境目があるのか?という疑問。「ある」という側の(私の知り得る限り)最も説得力のある説明です。越えられない溝とは、前出の後戻りできない境界線みたいですね。

《以下引用》…人間はいまだに構造上は動物であり、多くの本能を祖先から受け継いでいる。その本能の中には、種の保存に欠かせないものもある。しかしながら人間は、知られざる一つの源流から、動物とは違った本能と人間特有の観念とをこの世にもたらした。この観念は本能とは矛盾しつつも、圧倒的に重要なものとなっている。そして進化の現局面を形づくっているのは、この理念、この新たな特性の発達なのである。…《引用終わり》

「密教概論」の中で見つけたことと共通してます。

《つづく》