泥棒はするな!ということです。真言宗の十善戒に沿って話をしているのですが、他の宗派やモーセの十戒にもこれは含まれています。不殺生と同様当たり前のことなので、何をわざわざという感じもしますが、人間は魔がさすということがあるということでしょう。会計の仕事をしていた人がつい手をつけてしまったという話はよくあることです。

そもそも所有するという概念、私有財産という概念の発生とともに泥棒という職業(?)も生まれたのでしょう。宗教的な方向性として、我彼の別なく皆一緒という境地を目指すのが修行のひとつと考えているので、私有財産を前提としたこの戒めはちょっとどうかな?と思うこともないではないです。

山間の小村では、昔、物が思うように手が入りませんでした。だから、物の貸し借りは当たり前だったようです。「お醤油貸して!」とか「お味噌貸して!」とか、主婦の間では日常的なことだったようです。貸し借りを気にしない共同体意識も悪くないような気もします。

ところが、そういうところ出身の人は貸し借りに抵抗がなく、所有権というのも厳格ではないようだ!と主張する人がいました。というのは、その人は自分のアパートに帰ってみたら、知り合ったばかりの隣の部屋の人が勝手に部屋に入っていて、冷蔵庫の物を食べていたという経験があるからです。その隣人は山奥の小さな村から仙台に来たばかりの人だったそうです。

世の中いろんなことがあります。が、一般論として「泥棒はダメ」というのは基本中の基本ですね。

《つづく》