甲野さんが提唱したことで最も興味を引かれたのが「身体感覚を組み直す」ということです。

日常の何気ない動作も、たくさんの筋肉の協調作業なわけです。その協調のパターンは頭の中に小さい頃にできて、ほとんどそのまま何十年と使われ続けるのだと思います。そして、同じ動作でも人によってこのパターンは違います。

たとえば、頭を前に10センチ突き出すという場合でも、頚椎を主に曲げる人、胸椎を比較的使う人、腰椎を使う人といろいろなパターンがあるでしょう。さらに頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個あるから、その曲がり方の比率は無限通りあるはず。それによって、どの部分の骨や筋肉に負担が多くかかるかが変わります。体の凝り方に、人それぞれの癖があるのはこのためだと思います。

「身体感覚を組み直す」とは、このパターンを変えるということです。だからこれは治療にも絶対役立つなあと思ったのです。しかし、漠然としていて、ズバリとしたヒントはなかなか見つかりません。

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