日本人は単線的な物差しになじめないという指摘があります。ただ速く走るとか、高く飛ぶとかいうことだけでは評価したがらない。入試もひとつの科目だけでするということはあまりしないで、複数の科目で行い平均を出したりする。

このあたりにも日本人批判ぽいニュアンスを感じて、わたしは違和感を感じます。これは悪いことなんじゃなくて、日本人のいいところなんじゃないかなと。養老さんは西洋医学の人だから仕方ないとしても、武術研究家の甲野さんが同調しているのは好きになれない。

武術には「競うこと自体よりも、つねに自分のなかと向き合う状況というのを重くみている」という甲野さんの発言がすごくいいですね。スポーツは、ただ速ければいい、高ければいい、点を多く入れればいいという単純さが良い点でもありますが、自分の人間的な成長とは必ずしも結びつかないと思います。

その傾向は最近顕著かもしれない。「スポーツをする人に悪い人はいない」と言われて納得する人は、今はいないんじゃないかな?

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